安里繁信のしげ脳vol.320「世界のウチナーンチュ大会への想い」

安里繁信

2016年09月29日 11:21

安里繁信のしげ脳vol.320「世界のウチナーンチュ大会への想い」




安里)
今年いよいよ、世界のウチナーンチュ大会が
5年ぶりに開催されます!

*世界のウチナーンチュ大会とは、主に移民として世界各国に移り住んだ県系人やその子孫が母県である”OKINAWA“に集い、そのルーツを確認したり、各種の交流が行われる大会で、5年に一度開催されるお祭りのこと。

公式サイト http://wuf2016.com/jp/

幸喜)
5年ぶりの開催、盛り上がるでしょうね~!

安里)
沖縄から海外に移住された方々が帰って来たり、
二世、三世の方々が祖先の故郷に来てくれることに
心から歓迎の意を表したいですし、
5年前の大会から沖縄は
どう成長してるかを鑑みる機会にもしたいですね。

幸喜)
この5年でだいぶ発展したんじゃないですか!?
先日、友人が3年ぶりに来沖して
「街も空港もすごく発展してる」と驚いてました。

安里)
それは嬉しいね!
この大会においてね、
こうだったらいいのにな、と思うことがあって。

それはね、迎え入れる我々が
自国の国旗である
日の丸の旗をあげて
パレードしてほしいな、ということです。



幸喜)
今はやってないんですか?

安里)
うん。県旗を掲げてるんですが、
日本の日の丸はないんです。
そこに僕は寂しさと違和感を感じてて。
時代ごとにいろんな背景があるにせよ、
僕は日の丸を掲げてほしいなと思うんですよね。

幸喜)
今は沖縄と日本が辺野古の問題で対立してますが、
そういうことも関係してるんでしょうか。

安里)
いや、特に意識してそうなってるわけではないと思います。
おそらく県主催のイベントだし、
前からそうだったから続けているだけで
誰もそこに疑問を持っていないんじゃないかな。
ただ、僕は違和感を感じたんですよね。
かつて沖縄には「日本人になりたくても
なれなかったウチナーンチュ」
っていう言葉を残した偉大な政治家もいるように(注)、
歴史的な流れを見てても
沖縄と日本を区別する意識が
双方にあったと思うんです。
僕はそれは乗り越えていかなきゃいけないと思うのが一つです。
もう一つ、移民政策っていうのは
戦前の疲弊した沖縄の経済を救うため、
それと過剰な人口を抑える目的もあって実施されたんですが
移住先で大儲けできるというような言葉を信じて
夢を持って海を渡って行ったら
そこはジャングルで地獄が待っていた。
未開の地で土を作るところから
始めなきゃいけなかったというのは
すごく過酷だったと思うんです。
知り合いもいない言葉も違う中で
仕事を一から作って、
土地にもなじまなきゃいけなかった。
それでも、苦労して稼いだお金を蓄え、
沖縄に住む家族に向けて送金してくれたから
沖縄はすごく助けられたんです。
聞くところによると、


昭和の初め頃の
海外移民からの沖縄への送金額は何と
県の歳入総額の半分以上を
占めていたらしいんだよね。


幸喜)
そんなに!すごいことですね!
海の向こうで家族を思って必死で働いたんですね。

安里)
なぁ!沖縄に住む家族との絆や
ふるさとへの深い想いを感じるよね。
そういう方々が、ブラジルやアルゼンチン、
ボリビアやペルー、ハワイとかね、
各国から自らの暮らす国と国旗、
誇りを背負って自らのルーツを有する国日本、
ふるさと沖縄に帰ってくる。
辛いことも悲しいことも全て乗り越えて
「こんな風に生きてきたんだ!」と堂々とね。


そんな力強く国旗を掲げている姿に
彼らのプライドを強く感じるんです。
あの気概を見てると、僕らは彼らほど
日本への誇りを持ってないんじゃないかと
疑問になるんだよね。



幸喜)
確かにそうですね。
アルゼンチンのウチナーンチュ代表、
ブラジルのウチナーンチュ代表、という風にやってくる方々に比べると
私を含め、日本という国への誇らしさは持ってない気がします。

安里)
そう、だからね、彼らを迎え入れる僕らも
国の誇りを示したいんですよね。


日本の中で輝いている
ウチナーンチュとして。


国際社会に対して日本って
どれほど恵まれた国かも感謝したいですしね。
課題はあげたらきりがないけれど、
課題は解決していけばいい。
だからいつかね、世界のウチナーンチュ大会で
日本の国旗が掲揚される日を楽しみにしています。

幸喜)
まずは今年の大会も盛り上がることを楽しみにしたいですね!


(注)沖縄県知事、衆議院議員、那覇市長、立法議員等を歴任した沖縄の政治家、
西銘順治氏が1985年、朝日新聞のインタビューで「沖縄の心」とは何かを訊かれ
「ヤマトゥンチュになりたくてなりきれない心」と答えたとされている。






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