安里繁信のしげ脳vol.324「解禁までのカウントダウン」
安里)
先日、個人的なことですが
嬉しいことがありまして。
なんって言うんだろう・・・
お酒を解禁する
タイミングを得ました。
幸喜)
会長は全くお酒を飲まないですもんね、
誰かに飲まされたんですか(笑)?
安里)
いや、悪友は多いですが(笑)
そういうんじゃなくてね。
最近、息子の塾の迎えなんかで二人になることがあるんです。
その時に聞いてきたんですよ、
「父さんはなんでお酒飲まんの?」って。
幸喜)
確か31歳から飲んでないとおっしゃっていましたよね。
安里)
うん。親父や兄弟たちも飲むし、
いつも僕だけ飲んでないから
いつか聞こうと思ってたけど
聞けずにいたよ、って。
それで話したんですよね、
お前が3歳で病気した時に(*)
治るように願掛けと自分への戒めとして
お酒を断つと決めたんだよ、と。
そしたら息子がしばらく黙ってたんですが、
「もういいよ、飲んだら」って言ってくれたんだよね。
(*息子さんは3歳の頃、頭蓋咽頭腫で手術をしています。)
幸喜)
息子さんとしては自分のために我慢してくれてるのが
嫌なのかもしれないですね。
安里)
ただ、僕としては、
息子が治ったら飲む、とか決めてなかったから
その後に飲み始めるきっかけがなかったんですよね。
おかげで朝の目覚めもいいし、
これだけ忙しくても元気でやってこれてるし、
そういう点で感謝してるんだよ、って話したんです。
彼はじっと聞いてましたが、いろいろ考えてたんでしょうね、
「自分が理由でやめたなら、
自分がいいよ、って言うから飲んだら」と
許してくれたんですが
それだけじゃ味気ないなって話になって(笑)
じゃあ息子が今17歳、
彼が二十歳になった日に
二人で飲もうか、ということになりました。
幸喜)
うわぁ~素敵ですね!!いい息子さんに育ってますね!
安里)
最高の息子ですね、出来は悪いけど(笑)
幸喜)
今回のこともそうですが、信弦くんは思慮深いですよね。
安里)
うん、哲学が好きみたいだし、
僕もそういうタイプだから
すごく相性が合いますね。
僕は彼に何か言われると
一番へこむし、
彼に認めてもらいたい、
褒められたいっていう気持ちが
すごく強いですね。
幸喜)
へぇー!!!周りにすごい方がいっぱいいる中でも、息子さんが一番なんですね。
すごい大きな存在ですね。
安里)
うん、僕の人生の半分以上を占めてるね。
信弦の事でたくさん悩んだし考えたし、苦労したから。
もちろん娘たちもすごく可愛くて大事ですが、
それとは別で・・・
あの頃、人生のどん底に
二人で立ってましたからね。
幸喜)
どん底に二人で・・・すごい絆を感じます。
安里)
うん。だからもう僕はお酒を飲まないまま
人生を終わるんだろうなと思ってたんですが、
彼から口火を切ってくれて。
二十歳の記念の日に二人で乾杯して
ゴクッ、と飲む味はどんなもんだろうなぁ!
きっと忘れられないね。
幸喜)
人生で一番、心に染みる味ですね。
安里)
なぁ・・・泡盛を飲むのか、ビールなのか。
何を飲むのかなぁ、どうしよう、
「あと3年か」と心待ちにしてる可愛い自分がいますが(笑)
その時にね、僕の人生の大きな節目を迎える気がします。
親離れ、子離れが始まるだろうし、
彼は彼の人生を生きていくわけですし。
幸喜)
ちなみに、飲まなくなった理由ですが、
戒めだったんですね。初めて聞きました。
安里)
人に話すようなことじゃないからな。
男って都合のいいもんで、
仕事での付き合いだって言えば
何時まで飲んでても許されると思ってる節があって。
僕も先輩方に連れて行ってもらったり
仲のいい友達との飲み会だったり、キリがないんです。
僕は離婚して嫁に逃げられてるくせに、
小さい息子を寝かしつければ
それでいいだろうと自分に言い訳して
親や姉ちゃんに預けて、
付き合いを優先してた。
子供の微妙な変化に
気づけない自分がいたんです。
幸喜)
病気の前兆があったんですか?
安里)
うん、それを教えてくれたのが保育園の先生なんです。
夜に電話をいただいて、
「目の動きがおかしいのをお父さんご存知ですか」と。
頭をハンマーで殴られたような
ショックでしたね。
僕はその変化に気づけなかった。
飯を食わせるのに精一杯で。
幸喜)
うわぁ・・でも会社もすごく成長してる中で、付き合いも大事な時期ですよね。
男手一つで、ご飯をあげたりお世話するだけでもすごいことだと思います。
安里)
うん、付き合いが大事だと思ってた。
でも、本当にそこまで、
夜に子どもを預けてまで
出なきゃいけなかったかというと
分かんないんだよね。
逃げてた気もするし。
あの頃、まだ信弦はオムツが取れるか取れないかぐらいの頃で
僕は飯を食わせる、お風呂に入れる、寝かしつける、
これが子育てだと思ってたんです。
でも違うんだよね。
向き合うことができてなかったんだよね。
幸喜)
子供ができたからいきなり親になるわけじゃないですもんね、
ご飯あげれば十分だと思ってしまいますよね。
安里)
だからね、保育園の先生に様子がおかしいと連絡受けて、
「あと一週間早く気づけたら」と。
そんなこと考えてもしょうがないんだけど、
手術するのは生死をかけた挑戦だったから、
今みたいに五体満足で元気になるなんて
誰も思ってなかったし。
この子が生きてさえくれれば何でもしますって
神様に祈るんだよね、人間って。
その時に知人に「神様はお願いするところじゃなくて
感謝するものなんだ」と教えられたから
今日が無事に終わったこととか、生きられたこととか
当たり前の日常に感謝しつつ、
自分のこれまでの生活を戒めなきゃと思って。
そこからですね。
幸喜)
それをきっかけにお酒を絶った。
安里)
うん、生まれ変わりたいと思ったから・・。
だから息子の病気のおかげで救われた部分もいっぱいあって。
そうじゃなきゃ、勘違いしたまま人生を終えてたかもしれない。
そんな、いろんなこと、いいことも大変だったことも、
その乾杯で少し、肩の荷が降りる気がします。
幸喜)
うんうん。
安里)
親になった朝子は分かると思いますが
自分が辛かったことって
自分だけの話じゃないですか。
でも子供が辛いことって、
なんだろう・・数百倍にも感じられる。
自分だけじゃ解決できなくて、かといって
自分は何もできない無力さも感じるし
取り返しのつかないことだし、
かといって以前に気づけたかって聞かれれば
それは分からないし。
結果、そういう状況になったことを踏まえて、
ただただ何かを反省しなきゃいけない自分がいて。
雨が降ったら「日頃の行いが悪いからだよ」なんて
茶化すじゃないですか、
そういうのと同じかもしれない。
僕にできるのは、
せめて日々の行いを改めるしかなかったんですよね。
だからね、お酒を解禁することで
見えなかったゴールのテープが少し見えたような。
そういう提案をくれた息子に感謝したいです。
幸喜)
そして、その前に受験ですね(笑)!
安里)
「もうセンターは諦めてるから」とか言ってますが(笑)
うん・・・生きててくれるだけでいいね。
幸喜)
また2年後、お話聞くのを楽しみにしています!