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安里繁信
安里繁信
グループのシンバネットワークを束ねるシンバホールディングス会長。(社)日本青年会議所 会頭、(財)沖縄観光コンベンションビューロー会長などを経て(社)沖縄公共政策研究所を設立。さまざまな活動を通して沖縄の魅力を全国に発信中。好きな食べものはタコライス。

【趣味】マリンレジャー
【血液型】A型
【座右の銘】知行合一
【尊敬する人物】牛尾 治朗
【好きな俳優】藤原 紀香
【好きな食べ物】タコライス、カフェラテ

facebookやTwitter、Instagramもやっておりますので、宜しくお願いします!


[ライター紹介]

幸喜 朝子

またの名をブエコ。沖縄のチキンの丸焼き専門店ブエノチキン浦添2代目にして、広告コピーライター。安里繁信の思考を読み解くべく2008年インタビュー形式のブログ「しげ脳」をスタート。


  渡嘉敷・田中・松田

シンバホールディングス㈱秘書室・広報メンバーによる安里の脳内調査を開始(2021年~新生しげ脳)
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てぃーだブログ › 安里繁信の脳内に切り込む!おしゃべりブログ「しげ脳」 › しげ脳(対談形式) › 安里繁信のしげ脳vol.306「デービッド・アトキンソン氏来沖講演を開催しました。①」

2016年03月24日

安里繁信のしげ脳vol.306「デービッド・アトキンソン氏来沖講演を開催しました。①」

しげ脳vol.287よりインタビュー編集担当の幸喜朝子の出産の為、
しばらくの間、夫・浅野太輝が代打取材中!
「いっしょに考える塾 アサノジュク」を運営する28才、
駆け出し経営者としての目線で安里会長の脳内に迫ります!



浅野)
先日、沖縄の観光業関係者が大注目の講演があったそうですね!

安里)
はい、僕が理事長を務める(一財)沖縄公共政策研究所主催で
「観光戦略をどう描くか~沖縄の強みと弱み~」
を開催したんですが、その講演者というのがね、
デービッド・アトキンソン氏!



安里繁信のしげ脳vol.306「デービッド・アトキンソン氏来沖講演を開催しました。①」



イギリス出身で、もともと経済アナリストなんですが
日本の国宝・重要文化財を守る会社(㈱小西美術工藝社)を経営されていて、著書の「新・観光立国論」が昨年大変な話題となった方です。

浅野)
イギリス人なのに日本の国宝を守っている!
面白い経歴ですね〜!
その本を読んで会長は感銘を受けたそうですね。
それで講演にお招きしたと。

安里)
僕は日本が観光という目線で
国外からどの様に見られているかを
みんなと共有したかったんだよね。
なので、そのことに精通した
デービッド・アトキンソン氏を迎えて
講演していただきました。

浅野)
講演の中で最も新鮮に感じられた発言は何でしたか?

安里)
実は、僕はアトキンソン氏の話に新鮮さというよりは、
むしろ初めて心から「そうだよね!」と
納得・共感できる意見に出会えたという感じです。
僕がそんなこと言うと偉そうですが、
それぐらい理に叶った意見を述べられているんです。
僕は今までにたくさんの国際会議に参加してきましたが、
その地域やホテルのあり方と、
今の沖縄は大きく違うんだよ。

特にスイスのジュネーヴの国連周辺に行ったときは
街並み、情報網のあり方、その全てに
”ストーリー”があってすごく感銘を受けました。
アトキンソン氏が言ってるのもこの”ストーリー性”。
僕が外国に行く度に感じていた世界と沖縄のズレを
すごく分かりやすく指摘してくれているんです。

浅野)
それは僕も聞きたかったです!
具体的に興味深い指摘をいくつか教えていただけますか。

安里)
例えば日本の観光政策は、
国内旅行が主流だったんだけど、これに加えて、
アウトバウンド型の
観光に重きを置いてきたんだよ。
しかし、これからの日本は、
観光を成長経済の産業に進化
させようという国の政策もあるから、
これまでの政策のスタイルを変えて、
より国外からのニーズに応える必要がある。
そういった貴重なお話を聞かせていただきました。

浅野)
アウトバウンド型?初めて聞きましたがどの様な意味ですか?

安里)
「観光」の分野でアウトバウンドっていうのは、
日本人が海外旅行に出て行くこと。
インバウンド(=訪日外国人の観光)とは逆の意味だね。

昔、確か1980年代だったか、日米貿易摩擦というのが
物凄く問題になっていて、その解消のために、
日本政府が国民に対して海外旅行を推奨したんだ。
これに応える形で、日本の旅行業界は海外で日本人の消費につながる
観光商品を作ってきた。
例えばハワイには日本人が好む様に
日本人が投資したホテルがいくつもあるんだよ。
そういうことに日本人は長けているんです。

浅野)
でも、これから日本の人口減少は目に見えているので、
日本人が消費するための観光商品を作っても
先細りするばかりではないでしょうか。

安里)
そう。だから、これから日本の観光は
「いかに海外からの旅行者を取り込むか」
という目線が必要なんだよ。
沖縄においても全く同じです。

浅野)
なるほど。確かに明快な道理ですよね。
アトキンソン氏の著書やインタビューを拝見すると
「おもてなしは商品にはならない」という旨の発言が多くありますが
沖縄においても同様ということを話されていましたね。

安里)
そうだね。沖縄にもそういった「人のよさ」を
売りにする様な観光戦略があるよね。
でも、それは武器ではないとズバッと発言してくださったよ。
「おもてなし」が商品にならないという意味は、
別に「おもてなし」そのものを否定しているわけではなくて、
確かに観光客は「すばらしいサービス」や「ちょっとした気遣い」のような、
日本独特の「おもてなし」に感動し、評価はされるけれど、
そもそも観光客はそんな「おもてなし」を受けるために
観光地に足を運ぶわけじゃない、
その土地の「光(=歴史や文化、風物などの美しくはえあるもの)」
を「観る」ことが目的なわけだから、
その魅力にもっと焦点をあてて
訪れる人たちが満足していただくような
「お膳立て」にもっと力を入れるべきだってことを
伝えたかったんです。

安里繁信のしげ脳vol.306「デービッド・アトキンソン氏来沖講演を開催しました。①」


浅野)
今まで一押しにしてた部分ですからね、強烈ですね!

安里)
例えば沖縄はかつて琉球王国で、
今も首里城が観光地として開かれている。
でも、首里城に何度も訪れたいかと問われると、どうだろう?

浅野)
チケットを買って中まで見学したことは1度しかないですね。
そういえばこの講演に関する新聞記事の見出しが
「首里城は空っぽだ」と書いてあってドキッとしました。

安里)
「空っぽ」という言葉は決して
首里城を否定しているわけではないんだよ。
アトキンソン氏は、文化財として首里城は素晴らしいけれど
それを十分な産業に出来ていないことを危惧されているんだ。

例えばイギリスのバッキンガム宮殿では
衛兵交代式というセレモニーがあって、
写真やビデオ撮影のためにたくさんの人が訪れるんだよ。
こういったセレモニーは世界中にいくつかある。
特別な日に何かしらの「セレモニー」が見られるというだけでなく、
毎日当たり外れなく、「何か」が見られるということが観光という視点では重要なんだよね。

浅野)
施設がそこにあるだけではもったいないということですね。

安里)
そう。○○年にこの建物が作られましたという様な
解説文があるだけでは、観光で来られる方々は
十分に満足しないんだよ。
だから「空っぽ」というキャッチーな見出しは
「観光の方々が求める情報や魅力が足りない」という意味。
センセーショナルで人目を引くかもしれないけど、
前後の文脈の流れが理解されず、沖縄を代表する
「首里城」に対し、ただ批判しているだけに受け取られる
危険性もあるってことに、今回気付かされたんだ。

というのも、これまで戦争で破壊された首里城の復元のために、
ホントどれだけ多くの人たちが関わって来たか、
今の施設ができるまでどれだけ巨額の予算が投じられてきたか、
こうした県民の遺産への「思い」が「空っぽ」という言葉だけだと
誤解される可能性は否めないよね。

これからの観光という話題に戻すと、
例えばディズニーランドでは
1日の締めくくりにパレードがあるでしょ。
だから大勢の方々が閉園まで園内で過ごすわけだ。
その間に食事をしたり、お土産も買うでしょう。
そして、パレードまで見て大満足だよな。
それと似た状況が衛兵交代式のセレモニーとも言えるよね。
「首里城に来たら、これだけは見なきゃ」という
エンターテイメントを首里城に設けるのも、
沖縄の観光がより盛り上がる1つの手なんだと。
そしてこれが雇用にも繋がり、派生的に経済効果を生むって視点。

浅野)
なるほど!聞けば聞くほど「確かに」と、思える内容ですね。
なぜ今日まで日本の観光のあり方は
国外の目線に対する意識が薄かったのでしょうか?

安里)
いろんな要因があるんでしょうが、
文化財を保護していくことは文部科学省の役割、
観光を推進することは国土交通省の役割、
この役割分担も要因の一つじゃないでしょうか。

浅野)
アトキンソン氏の過去の発言に
「文化財を保護する費用を賄うために
文化財を元に観光収入を確保しなくてはならない」
という旨の内容がありましたが、
まさにこれが沖縄の課題でもあるということですね。

安里)
そう。文化財を保護するのって
お金、つまり税金が必要で大変だよねと言い続けるのか、
文化財を有効に利用しながら地域活性に繋げるのか。
その違いは大きい。あらゆる文化財を
”外貨をもたらす宝物”にするのか
そうじゃないのかの違いは大きいってことだね。
これって、まさに日本の国宝や文化財の保護に
自身の社業として真剣に取り組んでいる、
アトキンソン氏だからこその視点なんじゃないかな。


インタビューの続きは、
次号「デービッド・アトキンソン氏来沖講演を開催しました。②」
へ続きます。




【インタビュー後記】

今回のデービッド・アトキンソン氏を招いた
「観光戦略をどう描くか~沖縄の強みと弱み~」にも
安里会長の想いがギュッと詰まっていました。
沖縄の課題と未来を見据える目は、インタビュー中もキラキラと輝いていましたよ。
来週更新予定の
"vol.307「デービッド・アトキンソン氏来沖講演を開催しました。②」"
も、是非ご覧ください!

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